極限光オートノミー探究センター

はじめに

2023年11月にUVSORは初点より40年を迎えました。48年前、分子科学研究所の創設時から分子科学コミュニティの目玉政策の一環としてUVSOR計画がありました。 まだ国際的にも黎明期であった当時から次世代の放射光サイエンスを意識した挑戦的な光の活用を目指した試みでした。40年の節目を迎えましたが、今後は加速度的に進化します。 我が国のこれからの持続的な放射光科学の発展を目指し、分子科学研究所が拠点となって新たたな学際領域の開拓を目指したいと思います。特に、まだ光を知らない、 光を使いこなせていないコミュニティへの啓発を強く意識し、次世代の放射光施設のミッションを高度化します。

次期施設コンセプト

次期施設計画は2019年10月より本格的に活動を始めております。これからの光計測に求められている技術は、複雑系・不均一系システムへの適応です。次世代材料や 量子マテリアルはもちろんですが、生命科学や生物学の分野では、その研究対象は多岐に渡り、まさにターゲットの宝庫です。こうした分野が抱える解決課題のニーズに 牽引される形で、強力に異分野融合を推進します。放射光技術と分子科学で培ってきた計測ノウハウのシーズが後押しする形で、光科学による全面的なサポートによる 困難な課題をドライブします。次期施設ではリング型放射光に限定せず、あらゆる光の活用を視野に入れます。光の種を問わず、ユーザーの求める光源をテーラーメイドに 提供する環境を構築し、次世代の国際トレンドを我が国が主導します。

  •     ● 分野融合型研究が必要とする大型設備開発
  •     ● 研究ニーズ視点で光のテーラーメイド利用へ
  •     ● ゼロをイチにするトライ&エラーの学術研究
  •     ● 技術伝承・人材育成のワンルーフ研究環境

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放射光

リング型放射光の仕様は、UVSOR-IIIよりも一回り大きな省エネ小型の高輝度光源UVSOR-IVを新地に刷新いたします。テーラーメイド利用のために、 自由度のある小型施設が不可欠で、成熟した先端技術を導入し、イメージング手法への適用に耐えうる安定性を重視した設計です。SX, VUVの長波長帯域では 回折限界の光源となりコヒーレント特性を利用する研究が行えます。 また次世代の最新技術である小型レーザー加速器による入射器を世界に先駆けて導入し、50年後も持続可能な長期的な展開を視野に入れます。

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  •   *テーラーメイドに資するコンパクト施設
  •     放射光と卓上レーザー光の協奏実験環境
  •   *回折限界光源(輝度1桁アップ)、安定性重視
  •     DBAバランス重視、複数の長直線ラインの確保
  •   *運転モードを可変仕様にし多様性担保
  •     0.75 / 1 GeV蓄積ビームエネルギー切替運転
        MPWによるバイオTX帯ニーズへの対応
  •   *先端技術導入、拡張更新の余地
  •     レーザー入射加速器によるコンパクト化、低コスト化
        電磁石・永久磁石のハイブリッド複合機能型
  •   *省エネルギー化・建設コスト低
  •     UVSORからの資産転用